金崎メモ
2012年03月08日
CRPS(複合性局所疼痛症候群)
1 概念
CRPS=complex regional pain syndrome
反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)やカウザルギー(causalgia)に代わる概念として、1994年に国際疼痛学会により提唱された。
※心因性疼痛とは区別される。
2 類型
〔Type1〕
・何らかの障害(特に軟部組織か骨の損傷後)に発症
・アロデニア、自発痛を伴う。単一神経支配領域にとどまらない
・痛みの程度は、その原因との関係では不相当
・浮腫、皮膚血流障害、発汗障害が疼痛領域に出現
・明らかな末梢交感神経の障害を確認できない。
〔Type2〕
・神経損傷後に発症
・従来のカウザルギーに相当する
・明らかな末梢交感神経の障害後に症状が出現
3 症状
・感覚異常
・限局性の自律神経異常(血管運動、発汗)
・アロデニアと痛覚過敏
・浮腫
・可動域の制限
・心理的苦痛(抑鬱、不安、怒りなど)
※環境変化やストレスで悪化しうる。
原因の未解明、有効な治療の欠如、長期間に及ぶ治療で助長される。
4 治療
①薬物療法
②理学療法
③交感神経遮断
5 予後
・予測困難
寛解する場合もあれば何年も継続する場合もある。
進行すると、他の部位に波及することもある。
2012年03月01日
肺血栓塞栓症・肺梗塞
1 病態生理
・血栓、脂肪、腫瘍などが血流に乗って肺動脈を閉塞する。
・末梢の肺組織が壊死→ 肺梗塞
・低酸素血症
・右室負荷により、右室の心不全
・誘発因子
①血流停滞: 長時間のフライト、肥満、妊娠など
②静脈内皮傷害: 手術、中心静脈カテーテル留置、外傷・骨折など
③血液凝固能亢進: 経口避妊薬、妊娠
2 症状
・突然の呼吸困難、頻呼吸、胸痛(吸気時に憎悪)
3 検査
①動脈血ガス分析
・低酸素血症
・AaDo2開大
②血液所見
・FDP(フィブリン分解産物)↑
・D-dimer↑
③胸部の画像所見
・肺門部肺動脈主幹部の拡大(Knucle singn)
・血流途絶による末梢肺野の透過性亢進(Westermark sign)
④心電図
・急性右心負荷所見
・陰性T波の出現
⑤心エコー
・右室及び右房の拡大等の右心負荷所見
⑥肺シンチグラフィ
・換気・血流の不均等分布
4 治療
①酸素投与→ 低酸素血症を改善
②抗凝固療法
・第一選択は、ヘパリン
※高い確率で血栓の存在が予想されれば、確定診断を待たずに投与すべき。
③血栓溶解療法
・ウロキナーぜ、t-PA
④外科的処置
・肺動脈血栓摘出術
2012年02月25日
網膜剥離の治療方法として用いられる気体注入術の問題点
1 気体注入術とは
-気体(膨張性ガス)を眼内に注入することによって、膨張したガスの浮力で剥離している網膜を押し上げ網膜を復位させる術式。
2 合併症
-最大の問題点は、眼圧の上昇
①機序
網膜中心動脈の動脈圧は、約60~70mmHg
↓
眼圧がこの動脈圧に接近又は越えると、網膜中心動脈は閉塞(血流が止まる)
↓
閉塞(網膜虚血時間)が100分以上継続すると失明に至る。
②網膜中心動脈の動脈圧が何らかの理由で低下していた場合は?
・通常の動脈圧は、約60~70mmHgだが、この動脈圧が低下している場合がある。
cf. 低血圧、糖尿病、高齢、動脈硬化など
・例えば、動脈圧が約50mmHgに低下していたとすると、
↓
眼圧が50mmHgに近づくか越えるかすれば、網膜中心動脈の閉塞が起こることになる!
3 合併症に対する対策
①眼内に注入した膨張性ガスは、約10週間眼内にとどまっている場合がある。
↓
したがって、その間の全身麻酔を用いた外科手術は禁忌!
②飛行機のフライトも眼圧を上昇させる。
↓
したがって、膨張性ガスが眼内にとどまっている間のフライトも禁忌!
③術後管理: 術後から患者の眼圧の状態、眼痛、頭痛、嘔気などに注意。
↓
眼圧の高い状態が30分以上継続するようであれば、ガスを抜く!
2012年02月24日
裂孔原性網膜剥離
1 網膜剥離の種類
①網膜裂孔を伴うもの
・(網膜)裂孔原性網膜剥離
※網膜剥離とは、通常は網膜裂孔原性剥離をさす。
②網膜裂孔を伴わないもの
・滲出性網膜剥離
・牽引性網膜剥離
2 網膜剥離(全般)の病態生理
・網膜が剥離
↓
・脈絡膜の血流支配下にある網膜外層が低酸素状態
↓
・網膜剥離が進行すると、その範囲で視野狭窄や変視症発症
↓
・放置すれば、網膜が全剥離して失明
3 裂孔原性網膜剥離
①原因
・硝子体の牽引による網膜裂孔
・外傷による網膜裂孔
②病態
・最初は局所的な網膜剥離でも、眼球運動などにより剥離は拡大。
・最終的には全剥離に至り失明する。
③治療方法
・強膜バックリング(=強膜内陥術)
-強膜にシリコンスポンジなどを縫着→ 剥離した網膜と網膜色素上皮の距離を短くする。
・裂孔閉鎖
-裂孔部位の周辺に炎症を起こす→ 炎症による癒着で裂孔の開口部を閉鎖する。
・気体注入術
-硝子体腔内に気体(膨張ガス)を注入→ その浮力を利用して網膜を持ち上げて復位させる。
2012年02月21日
肺癌腫瘍マーカー
弁護士 金崎浩之
1 総論
・確定診断に腫瘍マーカーを使用することはできない。
・治療の判定効果、再発予防、予後推定には有用。
・第一選択: CEA、CYFRA21-1、ProGRP
・第二選択: SCC、NSE、SLX
2 用語解説
・感度: 癌でマーカーが陽性になる確率
・特異度: 非癌でマーカーが陰性になる確率
・偽陽性率: 癌でないのにマーカーが陽性になる確率
・偽陰性率: 癌なのにマーカーが陰性になる確率
・陽性予測値: マーカーが陽性のとき癌である確率
・陰性予測値: マーカーが陰性のとき癌でない確率
3 各論
①CEA(癌胎児性抗原)
・成分: 糖タンパク
・肺癌全体の陽性率: 約50%
・肺腺癌の陽性率: 約60%(腺癌で有用)
・臨床病気の進行↑ → マーカー値↑
・手術で完全切除 → 約2週間で正常化
※正常化しない場合は術後再発が多い。
※再発すると、画像で確認できる4週間以上前から上昇する。→ 再発の予測に使える!
・偽陽性に注意!
※糖尿病、肝炎・肝硬変、慢性気管支炎、加齢、喫煙歴でも陽性と出る場合がある。
②CYFRA21-1(シフラ)
・成分: サイトケラチン(上皮細胞の細胞骨格を作るタンパク質)
・肺癌全体の陽性率: 約50%~約60%
・扁平上皮癌の陽性率: 約60%~約80%(高値!)
・臨床病気の進行↑ → 陽性値↑
※病気Ⅰ期でも陽性と出うる。
・手術で完全切除 → 約48時間以内に正常化!
・膀胱癌・消化器癌でも陽性と出うる。
・偽陰性に注意!
※間質性肺炎、放射性肺炎でも陽性と出うる。
③ProGRP
・成分: ガストリン放出ペプチドの前駆体(小細胞癌の増殖因子)
・小細胞癌で極めて高い感度・特異度。
・再発すると、画像で確認できる約35日前に値が上昇 → 再発を予測に有用!
④SCC
・成分: 子宮頸癌関連抗体TA-4
・肺癌全体での陽性率: 低い
・扁平上皮癌の陽性率: 高い
・手術で完全切除 → 約25時間後に正常化
・偽陽性に注意!
※子宮頸癌、食道癌などの他の扁平上皮癌でも陽性が出うる。
⑤NSE
・成分: 腫瘍細胞の崩壊による逸脱酵素
・小細胞癌で特異度が高い
⑥SLX
・肺癌全体での陽性率: 低い
・腺癌の陽性率: 高い

